研究の動機
私たちの住む石垣島は、天然記念物や固有種といった貴重な生き物が生息し、島を訪れる観光客は年々増加している。一方で、水資源の確保や開発に伴う野生生物の生息域の減少が心配されているのと同時に、八重山諸島の陸水生物について、詳しい生態調査が十分にされていないことを知った。そこで2014年から、先輩方の調査を引き継ぎ、水環境を中心に、水質および生物調査をもとに、石垣島の環境変化をとらえる基礎研究を行っている。
結論と感想
これまでの継続研究から、石垣島の河川は、人間活動による影響を強く受けていることが分かった。アンモニア態窒素の濃度から、住宅から排出される生活排水による河川の汚れが思ったより高く、島の下水処理が不十分であることが分かった。また、リン酸や硝酸態窒素の濃度から、化学肥料の河川への流出により、富栄養化の傾向も見られた。水質の変化が、生き物たちの生息環境にも影響し、外来種の繁殖や固有種の保全など、科学的データをもとに考えていかないといけないと感じる。