研究の動機
ウスカワマイマイ(カタツムリ)を研究するきっかけは、7年前の2016年4月当時小学1年生だった稲葉慶仁が、通学路のコンクリートの上で、ウスカワマイマイを見つけたことから始まった。稲葉は、この小さくて身近な生き物がどんな生活をして、どんな特徴があるのか詳しく知りたいと思い、2016年夏から自由研究の題材として研究を始めた。それから3年生になるまで一人で実験を行っていたが、2019年から仲間を募り「カタツムリ研究調査隊」を結成した。現在は7名の仲間と共に月に3回集まり、学校のサポートを受けながらカタツムリの生態調査と、からだの仕組みや特徴に関する研究活動を行っている。8名それぞれが「身近にいるウスカワマイマイを研究すると、予想している姿が実験によって違う姿を見せてくれることに魅了され続けている」と意欲的に研究活動をしている。
結論と感想
生態調査では、ウスカワマイマイの個体数が多くみられる環境条件が気温20度前後、湿度70%前後であるということ、エピフラムを張って夏眠する条件は気温28度以上、湿度69%以下であること、エピフラムを張って冬眠する条件は気温11度以下、湿度63%以下であることがわかった。私達はこの結果を見て、夏は活動しているという予想が違っていたことがわかった。
昨年の実験で私達は「カタツムリは暖色を好む」と結論づけた。しかし、「本当にカタツムリの原始的な眼で様々な波長の光を判別することができるのだろうか」と、自分たちの研究結果に疑問を抱くようになった。今回の視覚実験では、「ウスカワマイマイは暖色を好むのではなく、強い光を好むのではないか」と仮説を立てた。実験結果から、ウスカワマイマイは、明るい・暗いの2択では明るい方を好むことがわかった。このことから、私達の仮説は的中し、昨年の実験での結論が覆った。