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小学校の部
受賞者インタビュー
文部科学大臣賞

キバネツノトンボの研究 2nd season
-成虫の生態についてII-

内山 旬人さん 茨城県小美玉市立小川南小学校 6年生

徹底的なフィールドワークをもとに検証を重ね
希少な昆虫の生態に迫る

希少なキバネツノトンボについて
新たな発見がたくさんあった

希少な
キバネツノトンボについて
新たな発見がたくさんあった

まずは、今回の研究について教えてください。
内山さん 僕の研究対象であるキバネツノトンボは、全国の15の自治体でレッドデータブックに記載されているめずらしい昆虫です。そのため生態や習性などもほとんどわかっていないそうです。ただ、僕が住んでいる茨城県には豊かな生息環境もあります。そこで、昨シーズンから、自然の中でキバネツノトンボがどのように生きているのか観察を開始しました。今回の研究は、その観察記録と、実験や調査をもとにした考察です。
キバネツノトンボについて、これまでにない詳しい研究ということで、審査員の先生方も驚かれていました。
内山さん 今回の研究では、新たな発見がたくさんありました。図鑑や文献、ネットの情報などと異なる事象もいくつもありました。たとえば、これまでは草原で生育する「草原性」だといわれていましたが、夜間は森林など木のある場所に帰る習性なのではないかということ、「ススキを好む」とされているようですが、そうした傾向は見られなかったことなどです。
もちろん僕の研究結果は地域や期間も限られているため、すべて正解とは言い切れませんが、なるべく多くの事例を根拠として丁寧に検証したつもりです。
研究はどのように進めたのですか?
内山さん フィールド調査は、4月から6月ごろがシーズンになります。初年度は新型コロナウイルス感染症の影響で学校が休みになったため、毎日のように観察地に向かいました。また、早朝、昼、夕方、夜間などさまざまな時間に観察を行いました。2年目はその観察記録をもとにして観察や調査、実験の計画を立て、放課後や週末に研究を進めました。
自宅では、飼育環境下での実験や標本作成などを行いました。飼育方法についてもまったく情報や資料がないので、自然の中で観察していた様子を参考にしながら、手探りでひとつひとつ試していきました。

新たな発見に出会うワクワクと、
確証に近づく手応えが研究の楽しさ

新たな発見に出会う
ワクワクと、
確証に近づく手応えが
研究の楽しさ

研究日誌がとても詳しいですが、どのように記録していたのですか?
内山さん フィールドでは、野帳(屋外用記録ノート)や調査用紙も使っていましたが、基本的にスマホで写真や動画を撮影し、観察記録や気づいたことなどは音声にして録音しました。書きとめるよりも早いし、両手がふさがることもないので、とても便利なんです。
研究で苦労したことや大変だったことはありますか?
内山さん フィールドでの研究では、日焼けしたり汗だくになったりしましたし、虫刺されも多々ありました。でも僕は観察が大好きなので、何時間でも続けられるくらい楽しんでやっていました。
本当に大変だったのは、デスクワークです。観察したことを、その日のうちにまとめるようにしていましたが、量も多く、僕はタイピングが苦手で毎晩遅くまで格闘しました。また、データを表やグラフにする作業も父や母、兄に教えてもらい、四苦八苦しながら取り組みました。
自然の中での観察がとても好きなのですね。
研究を通して感じた楽しさにはほかにどんなものがありましたか?
内山さん 「こういうことだったのか!」とわかったりひらめいたりする瞬間です。観察を通じた気づきに対して、検証を重ね、だんだんと確信を得ていく過程におもしろさを感じます。新しい発見があると、すごくワクワクします。

研究を続けながら、
昆虫が生息するための自然環境を見守っていきたい

研究を続けながら、
昆虫が生息するための
自然環境を見守っていきたい

今後、どのような研究をしていきたいと思っていますか?
内山さん キバネツノトンボの研究は今後も続けていくつもりです。中学校では勉強も大変になると思うので、この2年間と同様に時間を割いて深く向き合えるはわかりません。ただ、少しずつでもこれまで知り得た結果をもとに、仮説の検証などに取り組んでいきたいです。
僕が小さいころから参加している地元の生物調査のグループ『小美玉生物の会』では、60代ぐらいのベテランの方が熱心に活動されています。僕も会の皆さんのように、ずっとこの土地に住み、大切な自然環境を守りながら、昆虫の研究を続けていければいいなと考えています。
昆虫の研究には自然環境への視点も欠かせないのですね。
内山さん 今回の研究で、キバネツノトンボが生息するのに適した自然環境なども知ることができました。全国分布を調べるため、都道府県のレッドデータブック担当者の方などにもお世話になりました。僕の研究が、各地での生息状況の把握や保全活動などに役立てばとてもうれしいです。
ありがとうございました!
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中学校の部
受賞者インタビュー
文部科学大臣賞

飼育温度とカブトムシの成長 パート7、
休眠を考慮した有効積算温度の推定

池田 拓実さん 茨城県土浦日本大学中等教育学校 2年

次々にわいてくる疑問や発見を、
コツコツ追い続けた7年間

大好きなカブトムシをもっと知りたい!
飼育して1年中観察

大好きなカブトムシを
もっと知りたい!
飼育して1年中観察

小学1年生のときから同じテーマで研究を続けてきたそうですが、その研究内容について教えてください。
池田さん テーマは、飼育温度がカブトムシの成長に及ぼす影響についてです。小さい頃からカブトムシが大好きで、生態をもっとよく知りたいと思って研究を始めました。
去年までの研究で、幼虫を高温で育てるとオスよりメスの方が早く羽化する「羽化ズレ」が起こることがわかりました。また、その「羽化ズレ」は、有効積算温度の雌雄差が原因になっていることが考えられました。今回は、昆虫の発育をそろえる働きのある「休眠」に注目し、高温での休眠によってどんな影響が見られるのか、飼育実験をすることにしました。
自分で幼虫を育てて観察したのですか?
池田さん 自宅2階の物置をカブトムシ専用の部屋にしているのですが、去年育てた成虫から生まれた40匹の幼虫を、それぞれガラス瓶に入れて観察しました。そこで温度や光を当てる時間など、飼育条件を変えながら羽化にどう違いが出るのかを調べました。
研究の中でとくに大変だったことは何ですか?
池田さん 生き物相手なので、自分の都合で研究を休むことはできません。40匹への餌やりや飼育管理も手間がかかります。テスト前など、忙しいときはやりたくないなと思うこともありましたが、それでも何時間もかけてコツコツと観察を続けました。

まだ誰も見つけていない生態を
一番に発見できることが喜び

まだ誰も
見つけていない生態を
一番に発見できることが喜び

研究をしていて楽しいことや嬉しいこと、やりがいを感じるのはどんな時ですか?
池田さん 研究をしていて何より嬉しいことは、世界で誰一人として発見できていないことを、初めて発見できる可能性があるということです。「教科書に載っていることをやっても仕方ない、まだ誰も知らないことを見つけよう」という気持ちを常に持つようにしています。
カブトムシは実はまだ研究されていないことが多く、参考にできる情報も少ないので、自分なりにやり方を工夫する必要があります。ゼロから取り組むのは大変なことではありますが、それがやりがいでもあります。
研究を通して感じる自分の変化や成長はありますか?
池田さん カブトムシは、お腹にVの字の模様があるかないかでオスとメスを見分けることができるのですが、以前はそれを見てもなかなかわかりませんでした。
でも今では、お腹を見なくてもフンの大きさや、体重、パッと見た感じでもオスかメスかが見分けがつきます。
もうカブトムシ博士ですね! 7年間もカブトムシと向き合い続けてきて、飽きない理由は何でしょうか?
池田さん コツコツと研究を進めていくと、新しい発見もあれば、逆にわからない点も出てきます。次々に知りたいことが出てくるので、飽きることはありません。

研究を続けることができたのは、
「大好き」という気持ちがあったから

研究を続けることが
できたのは、
「大好き」という
気持ちがあったから

今回の受賞を聞いてどう思いましたか?
池田さん 学校の先生から電話をもらって知ったのですが、まさかと思って聞き返してしまいました。すごい賞なので、とても光栄です。
受賞を一番に伝えたのは、どなたでしたか?
池田さん やっぱり両親です。研究データをグラフでどのように見せたらいいか指導してくれたり、研究中に思ったような結果にならなかったとき、あたたかくアドバイスしてくれたり、父と母のサポートがあって受賞できたと思っています。本当にありがたかったです。
引き続き研究は続ける予定ですか?
池田さん 今回の研究では、カブトムシの体重変化で休眠と休止を見分けることができず、モヤモヤした結果になってしまいました。次はそこをクリアにしたいと思っています。実はもう次の研究を始めているんです。
将来の夢は何ですか?
池田さん まだはっきりとは決まっていませんが、小さい頃からたくさんの生物と関わってきたので、今は生物関係の仕事に就きたいと思っています。
池田さんのようにコツコツと研究を積み重ねるにはどうしたらよいでしょうか?
これから研究を始める人にアドバイスをお願いします。
池田さん 僕が研究を続けてこられたのは、やっぱりカブトムシが大好きだからだと思います。
研究は興味を持って続けられることが一番です。何をテーマに研究していいかわからない人は、まず好きなことを見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。
ありがとうございました!
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小学校の部
受賞者インタビュー
オリンパス特別賞

花粉の研究
−花粉の観察と発芽及びスギ花粉の飛散調べ−

中山 咲季さん 中山 佳穂さん
茨城県小美玉市立堅倉小学校 4年・1年

姉妹で協力し、根気のいる花粉の観察をやり遂げた

顕微鏡をきっかけに、
花粉の研究をスタート

顕微鏡をきっかけに、
花粉の研究をスタート

今回、姉妹で取り組まれた研究について教えてください。
咲季さん 小学1年生の春に、スギの木の下に落ちていた粉がスギ花粉だと知りました。お母さんやおばあちゃんが花粉症だったので、花粉が飛ぶ時期や量がわかれば花粉症の人の役に立つのではないかと思って調べ始めました。
また、家の庭や身の回りにたくさんの花があったので、それらの花粉についても顕微鏡で観察してみようと考えました。
観察と研究は4年目になりますが、今年は妹が1年生になったので、2人で一緒に研究に取り組みました。
家に顕微鏡があったことが研究のきっかけになったのですね。
以前から顕微鏡を使って観察することはあったのですか?
咲季さん おじいちゃんが理科の先生だったので、家に顕微鏡がありました。顕微鏡を使うと、目では見えないものを見ることができます。それがおもしろくて、興味を持ったものをよく観察していました。
佳穂さん 塩や砂糖を見たことがあります。塩は四角い形をしていて、砂糖は三角や四角などいろいろな形をしていました。
今回、約170種類もの花の花粉を調べたそうですが、とくに興味深い花粉はありましたか?
佳穂さん オニノゲシの花粉は、トゲトゲがついていてびっくりしました。オニノゲシは葉っぱにもトゲトゲがついているので、花粉と葉っぱの形は何か関係しているのかなと考えました。
咲季さん ツキミソウの花粉が、海岸にあるテトラポットのような形で印象的でした。おもちゃのハンドスピナーにも似ているなと思いました。
写真を見ると、確かに花粉の色や形のバリエーションが豊かですね。
佳穂さん 顕微鏡とカメラを使ってたくさんの花粉の写真を撮って、プリントして見るのは楽しかったです。

観察台と風向・風力計を自作して、
研究方法をバージョンアップ

観察台と風向・風力計を
自作して、研究方法を
バージョンアップ

咲季さんは今年で研究も4年目ですが、研究方法に変化はありましたか?
咲季さん スギ花粉の飛散量を調べるために、今年は観察器具を用意しました。
1つはスギ花粉を集めるための観察台です。去年までは花粉を採取するプレパラートが風で飛んでいってしまうことがあったので、それを防ぐ屋根つきの観察台をベニヤ板で作りました。
もう1つは風向・風力計です。竹や厚紙、ストローなどを使って作りました。風向に合わせて矢が方角を指し示し、風を受けるひらひらした部分が吹き上がる角度によって、風の強さを測ります。正しい位置にセットできるように方位磁石もつけました。これで花粉が飛ぶ量と風の関係を調べることができます。
佳穂さん 材料は、おじいちゃんと一緒に買いに行きました。私は工作が得意なので、お姉ちゃんが作るのを手伝いました。
花粉の採取と観察を続けるのは大変だったのではないですか?
咲季さん 雨の日や風の日はつらいこともありました。けれど、風の日はスギ花粉がたくさん採取できるので、それをはげみにしました。そのうちに、雨の日はスギ花粉がつぶれていることに気づきました。そうすると、その理由が知りたくなるなど、新たな興味も湧いてきました。継続すること、最後までやりとげることが、研究で大切なことだと思います。
佳穂さん 風が強い日は、吹き飛ばされたゴミや砂などがたくさんプレパラートにくっついているのが面白いと思いました。その中にとても小さい丸いものがあり、おじいちゃんから、「PM2.5」という小さなゴミや、砂漠の砂だと教えてもらいました。

姉妹で研究を続けて、
まだ見たことのないものを見てみたい

姉妹で研究を続けて、
まだ見たことのないものを
見てみたい

受賞した時はどんな気持ちでしたか?
咲季さん おじいちゃんとおばあちゃんの家に遊びに行っている時だったので、一緒になって喜びました。私たちよりおじいちゃんの方が喜んだかもしれません。
お祖父様は、咲季さんが生まれた時から、一緒に自由研究をするのを楽しみにしていたそうですね。これからはどんな研究をしたいと考えていますか?
咲季さん スギ花粉の飛散量調べは、採取場所を増やして続ける予定です。ほかにも、私は恐竜が好きなので、化石探しなどもやってみたいと思っています。
佳穂さん 私も来年も研究をがんばりたいです。また、顕微鏡でこれまで見たことがないものを観察してみたいと考えています。
ありがとうございました!
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中学校の部
受賞者インタビュー
オリンパス特別賞

常総市の沼や川はきれいかな? Ⅳ

猪瀬 広貴さん 猪瀬 春佳さん
茨城県常総市立水海道西中学校 3年

現地調査とデータ記録を2人で役割分担
毎日使う水と、川や沼の密接な関係性を知った

調べるほどに増える疑問
手作りの装置も用意してチャレンジ

調べるほどに増える疑問
手作りの装置も
用意してチャレンジ

広貴さんと春佳さんは双子なのですよね。今回2人でどのような研究をしたのですか?
広貴さん 僕たちが住んでいる茨城県常総市の沼川の汚染状況と、水辺の環境について調べました。水質は市販の水質測定器とPH試験紙、透明度計を使って測定し、水辺の環境はいくつか項目を設定した上で、現地調査をして記録しました。
春佳さん 水の透明度を調べる装置は自分たちで手作りしました。
広貴さん 「霞ヶ浦環境科学センター」のワークショップに参加した際に、ヒントをもらって作ってみました。ペットボトルの底を切って何個もつなげ、水の中に入れて透明度を調べるものです。
研究での2人の役割分担について教えてください。
春佳さん 広貴が川に水を取りに行くなど現地調査の担当で、私は主に調べたデータを記録する担当です。
広貴さん 研究の中では、細かく数字にこだわったり分析したり、普段の春佳とは違う一面を知ることもできました。データの判断基準について意見が食い違い言い合いになることもありましたが、よく話し合うことで解決し、最後まで2人でやり遂げることができました。
5年間、ずっと同じテーマで研究を続けてきた理由は何ですか?
広貴さん 別の季節に調べてみたとき、川の上流や中流で調べてみたとき、調査結果がどう変わるのだろうと、続けていくごとに新しい疑問がわいてきたからです。また、今回は新型コロナウイルス感染症拡大による僕たちの生活の変化が、水辺の環境にどう影響しているのかなど、新たに気になることもありました。まだまだ知りたいことがたくさんあります。

自信がなかったからこそうれしい受賞
顕微鏡で研究を続けたい!

自信がなかったからこそ
うれしい受賞
顕微鏡で研究を続けたい!

研究を続けるなかで楽しかったことや嬉しかったことは何ですか?
春佳さん 鬼怒川の工事が水質に与える影響を調べるにあたり、上流へ水を採取しに行きがてら、家族旅行ができたことです。
広貴さん 両親は、川へ水を取りに行く際に車を出してくれたり、資料のまとめ方についてアドバイスをくれたりと、僕たちの研究にたくさん協力してくれ、本当に感謝しています。今回の受賞もとても喜んでくれました。
受賞を知ったときの気持ちはいかがでしたか?
広貴さん 今年は受験勉強もあって忙しかったので、正直あまり自信がありませんでした。でも、「オリンパス特別賞」というすごい賞をもらえて驚きました。副賞に顕微鏡をいただけるということを知ってさらにうれしくなりました。ぜひ今後の研究に役立てたいです!
顕微鏡で何を観察したいですか?
広貴さん 谷津沼の水を見たいと思っています。谷津沼は、植物プランクトンが豊富なので、きっとたくさんの微生物を見ることができると思います。そこからまた新たな発見や疑問も生まれるかもしれません。

環境問題を身近に感じるように
まわりの人にも伝えていきたい

研究を通して学んだこと、成長を感じたことはどんなことですか?
春佳さん 自分の普段の行動が、どれだけ沼川に対して影響を及ぼしているかがよくわかりました。汚水はなるべく流さないように工夫するなど、日頃の生活のなかで気をつけていきたいと思っています。
広貴さん 僕はこれまで一つのことを集中してやり遂げるという経験がなかったのですが、この研究を5年間続けることができて、自信がつきました。今後もいろいろな場面でこの経験を活かしていきたいです。
今後の目標はありますか?
広貴さん この研究を通して自然環境に対して興味を持つことができたので、クラスの友だちや周りの人にも学んだことを伝えたいです。自分の生活と沼川が結びついているのだということを、少しでも知ってもらえたらいいなと思います。
また、今回の研究で沼の汚染の原因が川の影響だということがわかったので、これからは、川の周辺の施設や土壌の状況などについてさらに詳しく調べていきたいと考えています。
長く1つのテーマを研究し続けてきたお2人から、これから研究をしようと思っている人にメッセージをお願いします。
春佳さん 楽しみながらやることが一番です。楽しいからこそ、「こうやってみよう」「ああやってみよう」といろんなアイデアが出てきます。楽しいと思えることの方が多かったから、私は5年間続けてこられました。ぜひ楽しめることを見つけてください。
ありがとうございました!
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第62回シゼコン表彰式 第62回シゼコン表彰式

審査総評

コロナ禍の状況の中で、応募学校数が10 年前よりも伸びていたことに、審査員一同、応募された小・中学生の真摯に科学を探究する熱意に感動いたしました。応募作品を読む時間は何事にもかえがたく、審査員は科学する意欲に燃えている児童・生徒さんに逆に励まされて、至福の時間を過ごすことができました。例年通り、審査にあたり、まず審査員が各自に応募作品を読み込み一次審査を行いました。そうした上で、最終審査会では審査員が一堂に会して意見を交わして、各賞を選びました。
小さな変化を見逃さずに「なぜ」その事象が起きているのか、その「問い」への実験方法を考え追究している作品、継続してきた研究に別の角度から取り組み、解を深めた作品、災害の事象を実験によって解明しようと挑戦している作品、見えない事象の「見える化」に力点を置いた作品、追究のプロセスに他の方の力を引き付けて思考回路をより一層深化させて取り組んだ作品など、児童・生徒さんの知的好奇心や意欲、粘り強さに感嘆しました。
今後も科学する意欲を持続させ、未来を担い、平和で安全な社会構築にむけて活躍していただけることを期待し、次回も多くの作品が寄せられることを願っております。

東京学芸大学名誉教授 工学博士 小澤 紀美子先生

文部科学大臣賞

小学校の部

キバネツノトンボの研究 2nd season
-成虫の生態についてII-

内山 旬人さん 茨城県小美玉市立
小川南小学校 6年

審査員コメント

キバネツノトンボは本州と九州に分布するとされていますが、生息地が限られる珍しい種類です。内山君が住んでいる小美玉市には比較的多く見られ、その有利な立地条件を生かして、彼は2020年にこのツノトンボの研究を始めました。この年は成虫の観察により生存期間、活動時間帯、食性、交尾、産卵など、これまでほとんど知られていなかった事柄を含めて非常に多くの結果を得ました。この経験を基に、2021年は事前に立てた綿密な研究計画に沿って、野外調査を主体に屋内飼育も取り入れて、成虫の生態の観察をより深めました。
キバネツノトンボは生息地が限られることもあって、研究した人が非常に少なく、どのような生活をしているのかについても詳しいことはよく判っていません。内山君の研究で明らかになった多くの事実は、これまでの知見を大きく書き換え、現在16都府県で絶滅危惧種に指定されている本種の保護活動にも大いに役立つと思われます。本人も書いているように、今後は幼虫期の生態解明にも取り組まれる事を期待します。

友国 雅章先生

中学校の部

飼育温度とカブトムシの成長 パート7、
休眠を考慮した有効積算温度の推定

池田 拓実さん 茨城県土浦日本大学
中等教育学校 2年

審査員コメント

この研究はカブトムシの成長について、特に温度と成長の関係に注目して7年前から続けている観察・実験の7年目の成果をまとめたもので、6年目に引き続き、日長と温度が異なる条件で雄・雌の幼虫を飼育観察することにより、羽化する時期を決定する要因として「有効積算温度」を算定して、その妥当性を考察しています。実験および観察のとりまとめはきっちりと行われており、説得力のある結果が出されています。今年の算定に休眠期間を導入したことは特にオリジナリティーのある優れた成果だと考えられます。また、これに関連する雌雄の成長の違いも捉えられており、さらなる発展が期待されます。現在の考察では休眠期間の後だけに休止期間を考慮していますが、休眠期間の前にもあると考えたら結果が変わるでしょうか。論文の書き方としては、カブトムシをよく知らない人にも理解してもらうために、比較に用いたタイワンカブトムシの幼虫は休眠しないことを説明しておく必要があるでしょう。

邑田 仁先生

オリンパス特別賞

小学校の部

花粉の研究 -花粉の観察と発芽及びスギ花粉の飛散調べ-

中山 咲季さん 中山 佳穂さん 茨城県小美玉市立
堅倉小学校 4年・1年

審査員コメント

スギの枝から出る黄色い粉を不思議に思い顕微鏡で観察したことがきっかけとなって始めた花粉の研究です。4年目の今年は春から夏にかけて約170種類の植物を対象に観察を行い、花の写真、花粉の顕微鏡写真とスケッチ、花粉の色や形、数などわかったことを記録しました。写真をたくさん撮っただけで終わることなく、スケッチや自分の言葉で花粉の特徴を記録し、花粉の特徴を形で分類し、その形のもつ意味を考え、まとめ上げたことが高く評価されました。この研究では他にもテーマを設定し、花粉の発芽の様子の観察も行い、さまざまな条件下で花粉の発芽と花粉管の様子を写真とスケッチと言葉で記録しました。また、春先にはダーラム法によるスギ花粉の飛散数の観測も行いました。普段見ることの少ないミクロの世界に興味を持ち、粘り強い観察からまとまった研究につながりました。花粉の大きさも計測できるようになれば、さらに研究が深まっていくことと思います。

木部 剛先生

中学校の部

常総市の沼や川はきれいかな? Ⅳ

猪瀬 広貴さん 猪瀬 春佳さん 茨城県常総市立
水海道西中学校 3年

審査員コメント

本研究は、小学校5年生の時に霞ヶ浦の水質やプランクトン調査を行ったことがきっかけとなり始まりました。常総市にある沼川の水辺のすこやかさ指標と水質の変化を5年間に継続して調査しています。目的から結果を予想し、調査結果をもとに考察しています。
コロナ禍での外出自粛が水質に与える影響では、自粛期間中のほうが以前に比べ水質が悪くなり、自粛解除後にpH値やCOD値など水質が改善され良くなりました。継続して調査を行っていたことで考察につなげることができました。平成27年、関東・東北豪雨による鬼怒川決壊による水害がありました。その後、堤防工事によりコンクリートの部分が増え自然環境が減少した一方で、水がきれいになるなどの考察を導いています。「常総市の水辺の環境マップ」を作成し、それぞれの沼川の水質をまとめるなどその努力は高く評価されました。
引き続きSDGs等も視野に入れ、私たち身の回りの生活環境の変化とそれにともなう水質等の調査を継続し、さらに研究を発展させていくことに期待します。

田中 史人先生

応募総数

第62回応募校数・作品数
小学校の部 中学校の部 合計
応募校数 0 0 0
応募作品数 6000 2000 8800

応募総数

第62回応募校数・作品数
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