『アポロ13』と理科を勉強する意味
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雑木林と牛久沼とビオトープ
牛久小学校の周辺には豊かな緑が残っている。学校の隣はクヌギやシラカシなどの雑木林「南裏市民の森」(通称・ヘビ山)、1.5kmほど南には牛久沼が広がっている。校庭にはビオトープもある。第45回自然科学観察コンクールで文部科学大臣奨励賞(小学校の部)を受賞した『絶滅の危機! ジュンサイの謎を探る!!』は、このビオトープのジュンサイが研究のきっかけだった。校舎裏ではシイタケを栽培、3階の校舎の窓までヘチマのネットを張っての壁面緑化、学校農園で学年ごとに好きな作物を作るなどユニークな試みも行っている。 ヘビ山、牛久沼、ビオトープは、総合学習の格好の素材だ。昨年度、4年生は「大好きヘビ山! カブトムシの棲む森にしよう!」をテーマに枯れ葉で堆肥を作ってカブトムシの幼虫を育てた。5年生の課題は「牛久沼の生きもののかかわりあいを考えよう!」。牛久沼の湖岸での生物採集、岸辺での野鳥や昆虫の観察、水質調査などを通じて、生きもののかかわりあいを学び、6年生はビオトープの改造に取り組んだ。 |
ビオトープではジュンサイや |
日常の中で疑問を発見するために
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活気あふれる夏休みの理科室開放日
理科の自由研究は、夏休みの宿題の選択肢のひとつ。牛久小学校では理科の自由研究を選んだ子供たちのために「夏休み理科室開放日」「夏休み理科相談日」を開設、昨年は20日ほどをこれにあてた。理科室の器具を自由に使って実験したり、先生に相談したり。クラブ活動のバスケットの練習を終えて駆け付ける子供もいた。身近な友達が夢中になって研究している姿に刺激を受けて、やる気を出すケースも多かったという。
「子供たちも私ものめりこむので時間が足りない(笑)。夏休みがもっと長ければいいのに」
コンクールへの参加は子供の希望で
夏休み前には自然科学観察コンクールの説明を行い、「参加したい人は先生に声をかけてね」と伝えている。
子供自身が「コンクールに出したい」と希望すれば、作品のレベルを問わずに応募するのが佐藤先生の方針。「参加者全員に表彰状と記念品をいただけるのは、子供たちにとって励みになります。いろいろな能力の子供がその子なりに、じっくり追求する姿勢を大事にしたいので、ひとりひとりを認めてもらえる今のスタイルはありがたいです」
前回も30人以上の作品を応募。表彰状には筆でひとりひとりの名前を記入し、記念品とともにクラス担任から渡した。全校集会でも参加者全員の名前を読み上げ、次への意欲づけになるようにした。
佐藤先生が初めてこのコンクールに応募したのは16~17年前のこと。当時、勤務していた牛久市立岡田小学校で、『ダンゴムシ 水分探知機とコミュニケーションのひみつをさぐる!』が第30回(1989年度)の文部大臣奨励賞を受賞している。
夢中になれるテーマが何より大切
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さらに工夫できるようなヒントを
実験の進め方については、回数を重ねてデータをとるように指導する。「こんな方法もあるよ」「こんなことをした人もいるよ」と助け船を出したり、専門家を紹介することもある。「煙がどう薄くなっていくかを実験したい」というグループに「水質検査の時に使ったあの器具は使えないかなぁ」とヒントを出したところ、自分たちで工夫を重ねていった。要所要所でアドバイスしつつ、子供たちが“謎解き”と“試行錯誤”の面白さを味わえるように見守っていく。
論文の構成の組み立て方は全員に教え、きちんと数値を入れることの大切さを強調する。「文章は簡潔に。基本は数字。小説ではないから“重い”“軽い”ではなく、全部数字に置き換えないと誰もが理解できないよ」。ひとつの実験には課題があり、方法・予想・結果・考察があり、さらには考察から次の課題が生まれる。その繰り返しだということを、ふだんの理科の授業でも毎回、根気よく説明している。
理科の楽しさをほかの先生たちにも
昨年度は理科専科として、理科の授業(3年~6年)と自由研究の指導を一手に行っていたが、今年度は教務主任という立場になり、“先生を育てる”ことにも意識を向けるようになった。自由研究の指導や実験の方法なども、それぞれの先生と連携して、個性を生かした授業ができるようにサポートするつもりだ。「学ぶことは楽しむこと。理科好きの先生を増やして、理科を学ぶ面白さを学校全体に広げていきたいですね」 自然科学観察コンクールの入選作品ガイド集には、全応募作品のタイトルと氏名が掲載される。子供にとって一生の思い出になるはず、と佐藤先生は言う。自由研究で感じた“わくわくする気持ち”“科学する心”を忘れず、大人になった時に次の世代へ引き継いでほしい。そんな日が訪れるのを楽しみに待っている。 |
校舎の周りは緑でいっぱい |
佐藤祐子先生 教務主任
(昨年度は3年~6年の理科専任)
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