実験のたびに1人1人がレポートを提出
清水先生の理科指導の基本は、レポート提出だ。必ず個人で書くように指導している。
班で1枚というようなことはやらない。グループでやると、その中のリーダー的生徒が引き受けて、他の生徒はその生徒にまかせてしまう傾向があるからだ。だれかにくっついてやるのではなくて、自分でどこまでできたかということを大事にしている。
人任せにしないということでは、実験は男子だけの班、女子だけの班にしてやる。男女いっしょにすると、女子が記録係、男子が運び係といった役割分担ができてしまうからだ。
いま、理科の授業は週2時間だけになってしまった。そのため、実験は教科書に載っているものだけで精一杯になっている。
最初から真っ白い用紙にレポートを書く
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実験の方法は絵で描かせる
レポート指導は1)テーマ、2)目的、3)器具と材料、4)方法と結果、5)考察、6)感想、の項目でまとめるようにしており、方法は必ず絵で描かせている。絵で描くのは、あとで前にやった実験を思い出せるようにするためだ。 レポートは実験をやるごとに書かせており、1学期で10本から15本ぐらい。1年だと30本ぐらいになる。 何も書いてない真っ白いレポート用紙を使用し、枚数制限はしていない。 3年生になると、全員が45分または50分の授業中に書き上げるようになる。このことは、生徒の自信となっている。 |
「A」をもらうまで書き直す
提出されたレポートは、すべてABC評価をする。
例えば考察がこの子はわかっていない、ということだとその子のレポートはBとかCにして返す。返された子はどこがいけないのかを考え、書き直して再提出する。それを「A」の評価がもらえるまで、何回でも繰り返す。
1学年は約140人。1人ずつ、年間30本ぐらいあるレポートのすべてを「A」になるまで見ていく。
思った以上にたいへんなことだが、基礎をつくることなのできちんと教えていきたい。ここの生徒はみんなまじめに取り組んで、がんばってやっている。
「まとめレポート」で書く練習
清水先生が、「私のやり方は珍しいかもしれません」と言うのが、通常のレポートとは違う「まとめレポート」だ。
それは教科書を色ペンでチェックしていく方法で、実験の目的は何色、答えは何色と決めて色ペンで塗っていくやり方だ。重要語句も色を塗ってチェックする。
こうして、色分けされたものを「まとめレポート」としてレポート用紙に写させる。これは1年次と2年次にやらせており、教科書の内容を理解させるため、レポートを書く訓練として採り入れている。文章の書き方の基礎を養うことにもなる。
書くことは、訓練しないとできない。とくに考察は何を書いたらよいかわからない子が多い。そこで、教科書から目的や考察を見つけて、まず写させる。そのあとで、自分がやった実験からわかったことを、自分の言葉で書くようにさせている。
3年生になると教科書を読み取れるようになるため、色ペンチェックは不要となる。
夏休みの自由研究は「自分でやること」を徹底指導
1年次、2年次は、夏休みの宿題に自由研究をやらせている。
何をやるか、テーマを探すのはたいへんなことなので、「本を見てもいい」「本からテーマを選んでもいい」「真似をしてもいい」。ただ、必ず自分でやるようにさせている。
例えば、しゃぼん玉なら自分で吹いてみる。吹いてみれば、何か工夫するようになる。そこで工夫したことは、自分のレポートに取り入れることができる。
本に書いてあるとおりにはまずいかない。自分で実験を始めてみれば、やっていくうちにどこかでとっかかりがでてくる。自分でやることで、いろいろ考えるようにもなる。
「努力賞」をもらうことが励みに
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中学でしかできないことをやらせてあげたい
西中のように自然に恵まれた地域でも、魚を手でつかむ子はほとんどいない。実験でメダカを使う時にも、水槽から網ですくって持ってきている。 それでは、メダカの感覚が伝わってこない。だから、できるだけメダカを手にとって持ってくるようにさせている。カエルの解剖をした時も、自分で解剖するのだから自分の手で持つようにと言った。中にはイヤな実験もあるだろうが、イヤだと言ってたら、カエルを持つなんてことは一生ないかも知れない。 清水先生が理科の授業でいちばん重視していることは、「触れてみる」こと。いろいろ触ってみることができるのは、中学生時代しかないと思っている。イヤなものでも触ってみる、やってみる。こうして中学で、いろいろなことをみんなに経験させてやりたい。 普段の授業の中でみんなが理解し、みんなが同じように体験していくことができれば、それはとてもすばらしいことだと思っている。 |
清水弘子先生(50歳)
理科担当(3年生担任)
専門は生物
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