学校のシンボルとなっているビオトープ
朱雀第四小学校の自慢のひとつが、ビオトープ「あかしやの森」だ。さまざまな生物が生息できる環境を備えた場所をいうビオトープは、校庭の一角に広がっている。自然を呼び戻して、豊かな感性を子どもたちに育てたいとの願いから、教員、PTA、子どもたちによる手づくりで平成9年に完成した。この時、樹木は48種60本が植えられた。 理科を研究教科の重点科目に掲げ、自然観察や飼育、栽培に力を入れており、校内ではチャボ、ウコッケイ、ウサギ、アヒル、アイガモなどが飼育されている。 西田先生は研究主任で、担任を持たず学校全体の研究・指導にあたっている。 |
活発な研究発表会
京都市の小学校は、研究発表会が盛んだ。市内にある小学校約185 校のうち150 校は実施しているのではないかと西田先生は語っている。 朱雀第四小学校は、今年10月31日(金)に「科学教育研究発表会」の開催を予定している。午前10時から午後5時まで、研究報告会、公開授業、児童の発表、シンポジウム(テーマ:科学教育の目指すもの)など、1日がかりで開催する。会場は、同校。参加者は例年250 人ぐらいになり、半数近くは他府県から訪れている。 西田先生は、「研究発表会は学校を活性化する起爆剤だ」と言う。先生1人1人がふだん積み上げた成果を見てもらう研究発表会は、先生の目標となるものだからだ。 今年の発表会で西田先生は、小-中-高の一貫教育の必要性を朱雀第四小学校から発信していこうと考えている。ここで育った探究心や学習への意欲を、中学、高校でもっともっと伸ばしていって欲しいと願う。 |
『自ら学ぶ朱四(あかしや)の子』を育てる理科・生活科
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自由研究への積極的な取り組み
平成3年度から理科教育を核にした教育を進めてきたが、さらに子どもたちの夢や願いを広げようということで、平成5年度からは自由研究に力を入れてきた。自由研究は理科教育を体系化するもので、理科の授業に取り入れている。
「なぜ?」という個人の疑問から発生するのが自由研究だ。子どもが自らテーマを選んで、自分の好きなことをするのだから、興味は尽きないだろう。自分が主体になることは、自分を生かすことになり、力をつけることにもなる。
西田先生は、自由研究を通じて、自然を豊かに楽しんで欲しい、感性を磨いて欲しいと願っている。
朱雀第四小学校の自由研究はやがて、夏休みの全校自由研究へと発展していく。
夏休み自由研究に向けて行われる周到な準備
全校が取り組む夏休み自由研究を全員が楽しく充実したものにするために、さまざまな準備がされている。 ▲夏休み自由研究・作品計画書 研究のテーマ、動機、内容等を夏休み前にきちんと各自に持たせるためのもの。6月の中旬に1人1人に書かせて、それを担任が1人ずつチェックし個別に修正していく。夏休みに入る前には全員の研究計画が完成する。 ▲相談会 計画がしっかりできていても、研究を始めると壁にぶちあたることが多い。そのために夏休みに入ると毎週月曜日の午前に、自由研究の相談会を設けている。ここで適宜、軌道修正をしていく。 ▲チャレンジ学習 テーマ選びにつながる体験授業も行っている。今年は「ボールのはずみ方」「浮き草の育ち方」の2つのテーマのもとに1時間の授業を全校で実施、保護者にも参加してもらった。 「ボールのはずみ方」は、ボールの種類を変えたり、落とす高さを変えたり、空気圧を変えることによってどんなはずみ方をするか、また、どんな記録をとればよいか、どんなまとめ方をしたらわかりやすいかなど、好ましいパターンを具体的に教え、練習する。「浮き草の育ち方」は観察パターンで、植物採集のやり方を保護者にも理解してもらう。 毎年1回、夏休みの自由研究のテーマがまとまったころ実施している。 ▲先生の研修「校内研究会」 自由研究を指導するにあたっては、どう進めていくかという計画モデルを担任の個々の先生が持つことが必要だ。たとえば「土を科学する」というテーマにどんな実験を思いつくか、という課題を提出して先生方に考えてもらう。これは指導のためのトレーニングといえるもので、先生たち自身がお互いに教える技術を磨き合う。 |
テーマは必ず子ども自身が決める
テーマは必ず子どもが決めなければいけない。子どもが主役であるべきで、そこに教育の原点があると言ってもよい。どれだけ、こだわらせるか。それはふだんの授業や生活の中で積み上げていかないと出てこない。指導者として苦労するところだ。子どもの“こだわり”を引き出すために、授業でも課外でもいろいろ工夫している。 テーマが決まり動きだしたら、それからはいくらでも手を差し伸べることができる。夏休み中もほとんど毎日、教員がだれか出ていて、行き詰まった子どもの相談にのっている。必要に応じて研究を進めるための資料を用意したり、本校で過去に受賞した優秀作品の実物を見せることもある。顕微鏡やデジタルカメラなど器具の使用も自由にさせている。 こうして本校では、自由研究に取り組む子どもたちを学校全体で応援している。「教育は組織力」を合言葉に、子どもたちの可能性を広げていくために力を合わせてやっている。 |
励みになるようにコンクールに応募
自由研究は本校の全員がやりとげることを目標としており、コンクールへの応募をめざすものではない。しかし、優れた作品が顕彰されることは励みになることなので、いくつかのコンクールに応募している。
京都市の「サイエンスコンテスト」では上位入賞を果たせるようになってきた。
自然科学観察コンクールへは、例年50点から70点応募している。全員に努力賞の賞状と記念品が贈られるため、子どもたちにはだいぶ励みになっている。あまりもらうチャンスのない賞状がもらえること、それも全国レベルのものをもらえる喜びは大きい。「来年もまたやろう」という意欲が生まれている。
西田均先生(44歳)
研究主任
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